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鋸板の背を薄くスキあげ、片刃ならではの軽い切れ味と使い良さを実現。鋸刃は用途に最適な目立てを施し、精密アサリ仕上げ(木釘挽は無アサリ)により罫書きどおりに真っ直ぐに切れ、切り口も美しく仕上がります。桐製の柄は、握りの馴染みがが良く、吸湿性があるため、汗で滑らず、長時間の作業でも疲れません。再目立て出来ます。(伝統工芸士光川大造が伝統的技術を現在に生かして製作した鋸ですが、経済大臣指定の伝統工芸品ではありません。)
大手住宅メーカーの工場で大型機械にて部材を切り刻み、現場で図面通りに釘と金具で組み立てる製品化された家が主流になりました。しかし大消費の時代は終わりエコ・リサイクルの観点から100年以上住め地震にも大変強い、木組みの純日本建築の家が見直されています。
日本の伝統的建築工法を継承し、施主さんのためにも自らが納得ゆくすばらしい仕事をしたいと願う若き大工さんたちが全国にはまだまだ多数いるはずです。
その人たちが日本古来から受け継がれてきた緻密な木組み伝統工法を、そして細部に繊細な加工を施す造作の高い技術を、極めるためには木材が正確に切れる・削れるための高水準の手道具が必要なのです。
手造りの大工道具は電動化が進み需要が少なくなりましたが、兵庫県三木市には江戸時代からの伝統技術を引継ぎ「良い物を作りたい」との熱い思いを持った打ち刃物職人達がいます。
鋸鍛冶になって二十四年。高校卒業後、修行のために市内の別の鋸鍛冶に二年間弟子入りした。その間、給料なし。しかし、炭の割り方から歪みの直し方、目立てなど、全工程を身につける。理論や方法よりも体で覚え、二十歳までに鋸製造の技は「体に染み付いた」ほどになった。
その後、家業の工場で腕を振るうことに。その時には製造工程の一部が機械化されていたが、多くが伝統的な手作業によるもの。手作業による品質への確信と、伝統の技への誇りが、製品一つひとつへの自信となった。
2000年3月、三十八歳で市内最年少の伝統工芸士の認定を受けた。皇太子様が全国育樹祭でお手入れに使う枝切り用鋸の製作に携わり、今年11月の全国伝統工芸士会作品展で「三代光川大造作細工鋸五本組」が入賞するなど、腕は広く認められるところに。
「手作業を覚えたから、今がある」と、自らの手でつかんだ技術と自信から出た言葉に、力がこもっていた。
(2003年12月10日日本刃物工具新聞より)
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